【中小企業診断士受験のメリット】診断士の眼で世の中を見通す


中小企業診断士の受験を考えている方は次のように考えている人も多いと思います。

  • 「中小企業診断士の資格をとるメリットって何?」
  • 「独占業務が無いって聞くけど、資格をとる意味はあるの?」

中小企業診断士は「唯一の経営コンサルタントの国家資格」です。

ただ実はこの資格には、独占業務(資格がないとできない業務)がありません。
言い換えると中小企業診断士ができる仕事は、他の誰でも行えるということです。

それだけ聞くと、そもそも資格をとる意味はないように思えてしまいます。

そんな疑問に答えるため、中小企業診断士のメリットについて書いていきます。
(私個人の考えになるので、他のページとはやや違うことも書いてあります。)



私が考える、中小企業診断士を目指す最大のメリットはこれです。

受験の過程で、ビジネスに関する広い知識を体系的に身につけられ、
鍛えた診断士の眼によって世の中を見通せるようになる

資格取得というと「資格を使って独立」とイメージする方も多いと思います。
一方で、「独立までは考えていないけど興味はある」と考えている方もいると思います。

中小企業診断士という資格は、サラリーマンを続けていても目指す価値があります。

大切なのは、勉強することになる受験科目そのものです。

中小企業診断士の受験科目は、経営について広く勉強することができるので、
資格取得のために勉強すること、それ自体が価値になってきます。

これがこの記事での私の主張なのですが、もちろん資格を持つことの価値もありますので、
「中小企業診断士試験を受験するメリット」「資格を持っているメリット」
2点について書いていくことにします。

中小企業診断士試験を受験するメリット

ビジネスに関する知識を体系的に学べる

中小企業診断士の一次試験の受験科目は、以下の7科目です。

  • 経済学・経済政策
  • 財務・会計
  • 企業経営理論
  • 運営管理(オペレーション・マネジメント)
  • 経営法務
  • 経営情報システム
  • 中小企業経営・中小企業政策

これらの科目を学ぶことで、経営に関する知識を体系的に身に付けることができます。

経営に関する分析の基本的な視点として外部環境内部資源があります。
(この視点自体も、試験科目の中の「企業経営理論」の中で学びます)

代表的な外部環境分析としては、PEST分析というものがあります。

Politics(政治)・Economy(経済)・Society(社会)・Technology(技術)
という4つの視点から企業外部のマクロ環境について広い視点から分析するもので、

「経済学・経済政策」「経営法務」「中小企業経営・中小企業政策」の3科目は
政治(法律)、経済、社会について、特に経営に関係する部分を学ぶことができます。
(技術については変化が激しいので、その時々で最新の情報を学ぶ方が効果的です。)

ミクロ視点で、企業外部の業界を見る5Forces分析というものもあります。

これは「企業間の競争関係」「買い手の交渉力」「売り手の交渉力」「新規参入者の脅威」「代替品の脅威」という5つの力から業界を分析するもので、

「企業経営理論」のなかにある、戦略論やマーケティング論の学習が役に立ちます。

企業内部の資源としては、「ヒト・モノ・カネ・情報」という視点が一般的です。

・ヒト:「企業経営理論」の組織論
・モノ:「運営管理」、 「企業経営理論」のマーケティング論
・カネ:「財務・会計」
・情報:「経営情報システム」

このようにそれぞれに対応する科目があります。


以上のように、中小企業診断士の受験科目を学べば、
経営に関する知識・視点を体系的に学ぶことができます。

もちろん、これらの知識だけで仕事がうまくいくわけではなく、
より広い視点でビジネススキルを身に付けていく必要があります。

ビジネススキル全般の構造については、以下の記事を参考にしてください。

受験勉強=必要な知識の定着に役立つ

ここまで読んできて

「体系的に学べることはわかったけど、わざわざ受験しなくても良いのでは?」

「受験と関係なく、ただ同じ内容を自分で勉強をする方が簡単」

と思う方もいらっしゃると思います。

もちろんその通りで、否定するつもりはないのですが、
資格を目指す受験勉強をすることによるメリットもあります。

  1. 受験のための範囲は、必要十分な内容になっている
  2. 受験日が決まっており、期限までに短期間で定着させられる
  3. 受験合格や、その前の問題演習等で、知識を身に付けた達成感が得られる

まず、中小企業診断士の受験科目は、本来はそれぞれ非常に広く深い論点があります。

自力で専門書を詳しく勉強しようとすると、とっつきにくいですし深さに際限もありません
一方で、○○入門のような本だけでは、実際に知識として使う浅すぎるように思います。

その点、中小企業診断士の受験のための範囲は、試験のために定められたもので、
仕事を行う上で役に立つ知識が必要十分に入っている、ちょうどいい内容になっています。

また試験日が決まっているので、試験日までに知識を身に付ける必要があります。

社会人の勉強は、差し迫って必要なものでないと期限は特になく、
自分でペースを決められるため、スピード感を持って進めるのが難しいと思います。

そこで試験日を目標にすると、短期間で集中して知識を身に付けることが可能になります。

最後に、試験の合格や問題演習による知識習得の達成感も大切です。

これらの経営に関する知識は、必要に迫られて勉強したものでない場合、
目に見えて役に立ったという実感がすぐには得られないことも多いです。

そうした場合に、問題を解くことや試験に合格するということは、
勉強のためのモチベーションを保つために役に立ちます。

自己成長を目的とした場合、受験のための勉強を行うことのデメリットは、
逆に自分の興味の赴くままに勉強することは難しくなることが挙げられます。

本来、興味が出てきた分野については、深掘りしていきたくなると思うのですが、
試験を目標に置いた場合、試験の範囲外の勉強をすることは目標から外れることになります。

考え方は人それぞれですが、個人的には先ほど書いた受験のメリットが大きいと思うので、
1年くらいは期限を区切って試験勉強と割り切って知識を一通り身に付けてしまう、
試験合格後に自分の興味のある分野の勉強をさらに進める、
ということをオススメします。

中小企業診断士の眼で多面的に世の中を見通せる

受験を通して身に付けた、中小企業診断士の知識は、
自分の仕事を経営という高い視点から捉えることもできますし、
社内の様々な部門の人と仕事をする上での基礎知識として役に立ちます。

例えば、私は最近までマレーシアにある日本法人で働いていたのですが、
駐在員の人数も少なく、担当の専門分野だけではなく、経営者に近い仕事をしていました。
そうした時も中小企業診断士受験で得た広範な経営に関する知識が大変役に立ちました。

また診断士の眼で多面的に世の中を見通せることもメリットです。

例えば、以下のようなイメージです。

  • 企業に関するニュースを見た時に、起きた事実をただ認識するだけでなく、
    その背景となる企業の外部環境や内部資源、経営戦略などにも思考を巡らし、
    ニュースを深く理解できるとともに、今後の展開の予測などもできる。
  • 町の中の店やレストランに行ったときに、
    その店舗の立地やフロア配置、マーケティング戦略などを考え、
    繁盛している店かどうか、より繁盛させるための方策などを考えられる。

実はこれは、中小企業診断士試験の二次試験の問題を解く視点に似ています。

二次試験では、実際の企業を元にした事例問題が論述式で出題されます。
「組織・人事」「マーケティング・流通」「生産・技術」「財務・会計」といった視点で、
事例を読んで、論述式で回答していくことになります。

一次試験・二次試験の勉強で身に付けた知識を生かそうと意識すると、
これまで何気なく見ていたことに対して反応するアンテナが磨かれ、
診断士の眼で多面的に見ることで、ビジネス感覚を磨くことができます。

一度、そうした視点を身に付ければ、世の中のものに敏感に反応して
わからないことは調べて知識を得る、結果としてさらに診断士の眼が磨かれる、
という好循環が生まれることになり、これが診断士受験の大きなメリットだと思います。



以上が、私の考える中小企業診断士を受験するメリットです。

受験の結果、仮に資格をとれなくても、その後の人生に十分に役に立つものだと思います。

ただ、それだけでは物足りないかもしれませんので、資格自体のメリットについても、
簡単に触れていこうと思います。

資格を持っているメリット

中小企業診断士に独占業務は無いと冒頭で書きましたが、
資格を持っていることにまったくメリットがないかというと、
もちろんそんなことはありません。

診断士の資格を持っているからこそのメリットも、もちろんあります。

ただ正直に言えば、私自身は資格を持っているメリットをほぼ味わっていません。
他のページで詳しく書きますが、私は資格取得後に海外に赴任したので、
中小企業診断士の資格を休止しており、資格自体を活用はしていないからです。

ここでは私自身や周りの診断士を見て感じるメリットについて書いていきます。

中小企業診断士を名乗れる

最大のメリットは、 当たり前ですが、中小企業診断士だと名乗れることだと思います。

中小企業診断士は、社会人の人気資格になっています。
「資格 ランキング」で検索すれば、多くのランキングで上位になっているのがわかります。

つまり、世間的にも認知度は高く、会社の中でも一目置かれる存在になれます。

私自身も、会社の中で上司・先輩から評価されたりもしますし、
最近では後輩社員も中小企業診断士を目指している人も多く
色々とアドバイスを求められたり、会社での仕事も進めやすくなっています。

※私のように休止中の人は、休止中であることもきちんと伝える必要があります。

もちろん独立してコンサルタントなどを行う場合にも
中小企業診断士の資格を持っていることは一定の信頼につながり、役に立つはずです。

ただ、資格を持っている「だけ」では、もちろん信頼は長続きしません

資格試験に合格するために勉強したことを生かし、
信頼を裏切らないような成果を出していく必要はありますので、
資格を持ったことだけで安心せずに自己研鑽は続けましょう。

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次の2つは私自身が体験していることではないのですが、
知り合いの診断士などを見ていて感じるメリットです。

診断協会に入会して人脈ができる

中小企業診断士の資格は、試験に合格したらすぐに登録できるわけではなく、
15日間の実務補修(または診断実務)に従事する必要があります。
また診断士の資格を維持するためにも実務従事が必要です。

普段、コンサルタントのような仕事をしていない人は、
各地の診断協会に入会して、実務従事の機会を得ていくことがほとんどです。

診断協会の実務従事や各種の勉強会に参加することで、
同じ中小企業診断士の仲間ができ、人脈を形成していくことができます。

公的業務が受けられる

また中小企業診断士は、公的業務を受けることができます。

診断士の公的業務とは、地方自治体等の窓口で経営相談に乗るような仕事のことです。

先ほど、中小企業診断士には独占業務がないと書きましたが、
これらの公的業務は、実際には診断士の資格を持っている人が行うことがほとんどで、
診断協会や診断士のつながりで、仕事を受けることになるようです。

こうした業務は独立した診断士の仕事になることが多く、
会社勤めをしている企業内診断士にとっては、あまり関係ないかもしれません。

<番外>デメリット? 資格維持のコスト

中小企業診断士の資格は5年に一度、更新手続きが必要です。

更新手続きの要件としては以下の2点があります。

  • 理論政策研修(5年間で5回)を受ける・・・1回6千円
  • 実務従事(5年間で30ポイント)・・・診断協会の年会費が約5万円

※実務従事は、自分の仕事などでする機会があれば、
 必ずしも診断協会への入会が必要なわけではありませんが、
 そうした機会がない人は、診断協会に入会して行うことがほとんどです。

この年間6万円近くが高いと考えるかは人それぞれではありますが、
けっして安くない維持費がかかることは理解しておきましょう。

※私は資格休止中なので、これらの更新手続きを行っておりません。

まとめ

中小企業診断士受験のメリットについて書いてきました。

この資格は社会人にとって人気の資格でもあり、資格取得をすることで、
独立するにせよしないにせよ、信頼を得ることができ目指す価値があります。

ただ私自身は、中小企業診断士受験で学ぶこと自体に価値があると思っており、
経営に関する全般的な知識を身に付けたい方には、
ぜひとも受験をオススメしたいものと考えています。

興味を持たれた方は、このサイトや他のページで調べて頂ければと思います。

このサイトでは中小企業診断士受験について、また得た知識をどう生かすのか、
そういった視点で記事を書いていきたいと思いますので、
宜しければ、チェックして頂ければと思います。

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